東洋経済オンラインに株式会社リクシス 取締役副社長酒井 穣氏の
「エースばかりを集めた夢のチームに失敗が多い
というコラムに下記のような話があります。
少々長いですが引用させて頂きます。
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「たくさん産むニワトリだけを集めると生産性低下」
「タマゴをたくさん産む、生産性の高いニワトリ(=スーパー・チキン)
だけを個別に選別し、その子孫の割合を増やしていけば良い」
と考えたなら、それは最悪の間違いとなる。
動物科学者ウィリアム・ミュアは、実際にこの実験を行った。
そして、スーパー・チキンだけで構成されたケージでは、
激しい喧嘩が発生し(喧嘩でエネルギーを消費してしまうため)
タマゴの生産性が大幅に低下することを突き止めたのである。
個体レベルで高い生産性を示すスーパー・チキンは、
要するに、利己的で攻撃性が高いニワトリだ。
こうしたニワトリは、他のニワトリを平然と攻撃し、
そこから資源を搾取する。
確かに、こうした資源の搾取によって、
個体レベルでの生産性は高められる。
しかし、組織を構成するメンバーが、
そんなスーパー・チキンばかりになると、
生産性は個体レベルでも下がってしまうのである。
正解は「ケージ単位で生産性の高いニワトリを選別すること」である。
組織(群れ)として生産性の高いケージを実現するニワトリは、
利己性を抑制し、利他的に振る舞えるニワトリたちの組織である。
こうしたニワトリは、お互いを搾取することなく、
平和でストレスの少ない社会を形成する。
それによって、社会全体のストレスと、喧嘩による無駄なエネルギー消費を減らし、
組織全体として高い生産性を実現できるのだ。
ミュアによる実験では、この選択によって、
タマゴの生産性は数世代で160%も増加したのだという。
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上記の話は、チームワークの重要性、
管理職者のチームをまとめる力の重要性を
よく表していると思います。
ケージ単位というのは、会社でいうと
部署単位、チーム単位と考えることができます。
■管理職者には無限の可能性がある
「P・Fドラッカー著 現代の経営 ダイヤモンド社」より引用致します。
「チームとは混沌をそのまま利点に変えてくれるものではない。
チームによる仕事には、個別の仕事よりもはるかに緻密な組織、密接な協力、
一人ひとりの役割の明確化を必要とされる。」
「ステファン・P・ロビンス著 組織行動のマネジメント ダイヤモンド社」
より引用します。
「チームは、協調を通じてプラスの相乗効果(シナジー効果)を生む。
個々人の努力は、個々の投入量の総和よりも高い業績水準をもたらす。」
ナポレオンの名言
「一頭の羊に率いられた百頭の狼群は、一頭の狼に率いられた百頭の羊群に敗れる」
上記3つの言葉から、組織は、それを構成する
一人ひとりの能力が高ければ高いほど強い集団になるのか。
決してそうではなく、組織は、個々人の総和ではなく、
リーダーにより全く異なった「集団」となると考えられます。
上述しました酒井 穣氏の「エースばかりを集めた夢のチームに失敗が多い訳」
と同じような意味合いともなります。
「目標の設定の仕方、行動計画の組み方、部下の方の動機付けの仕方により、
リーダーである管理職者には無限の可能性がある」
と考えることができます。
チーム員全員が仕事の目標を理解、納得し、役割分担を決め、
協力しながら仕事を進めることで、
チーム員の相乗効果により高い生産性を発揮することができます。
管理職になられる方は、スーパー社員として、
一チーム員として優れた活躍をされてきた方ばかりと思いますが、
管理職者になられた限り、
チームワーク形成のための学習、リーダーシップの取り方などを
謙虚な姿勢で、学習し身に付けることが、重要となります。